Oracle LinuxとはRedHat Enterprise LinuxやCentOSと互換性のあるOracle社のLinuxディストリビューションです。
最大の特徴としては、RedHat Enterprise LinuxやCentOSと互換性のあるカーネルと、Oracle製品に最適化されたカーネルUEK(Unbreakable Enterprise Kernel)の2種類を選べることです。
Oracle Database等のオラクル製品をインストールするサーバはUEKカーネル、オラクル製品を入れないサーバは互換性カーネルを選択することができます。
サポート費用もRedHat Enterprise Linuxと比べて安いので、某通信会社のシステムでは全てのOSをSolarisからOracle Linuxへ変更しています。
今回は、Oracle Linux8をVirtualBoxで作成した仮想マシンにインストールし、最終的にSSH接続する方法を紹介します。
手順的にはOracle VirtualBoxにVM機としてOracle Linux8のインストールしますが、サーバーにインストールする際も手順はほぼ変わりません。
Oracle Linux8インストールメディアのダウンロード
以下の Oracle Software Delivery Cloud サイトにアクセスします。
「Sing In」をクリックします。
Oracleアカウントでログインします。
(アカウントを持っていない場合は、下部の「プロファイル作成」にでアカウントを作成してください。)
All Categories に「Oracle Linux」と入力し、Searchすると Oracle Linux が表示されます。
今回は「DLP: Oracle Linux 8.1 (Oracle Linux) を選択するので、右の「+ Add to Cart」をクリックし、右上のView Cartから「Checkout」をクリックします。
以下の画面で Oracle Linux 8.1 が選択されていることを確認したら、右下の「Continue」をクリックします。
ライセンスの画面で内容を確認したら、「I reviewed and accept the Oracle License Agreement」をチェックし、右下の「Continue」をクリックします。
アンケート画面が出たら、適当に回答して「Submit」をクリックします。
今回はインストール用のDVDのみをダウンロードするので、「V984216-01.iso」をクリックします。
クリックするとisoのダウンロードが始まります。
仮想マシンの作成
VirtualBoxをWindows10にインストールする方法は以下の記事を参照してください。
VirtualBox上で右上の[新規(N)]ボタンをクリックします。
仮想マシンの名前、VMを保存する場所、インストールするOS、メモリサイズ、ハードディスクを選択します。
今回は以下を設定しました。入力が終わったら「作成」をクリックします。
名前 | OracleLinux81 |
マシンフォルダー | C:\Users\dekiruengineer\VirtualBox VMs |
タイプ | Linux |
バージョン | Oracle (64-bit) |
メモリサイズ | 1024[MB] |
ハードディスク | 仮想ハードディスクを作成する(C) |
仮想ハードディスクのファイル設定をします。
今回は20Gのファイルを作成しますが、ディスク容量節約のため、使用する度にファイルサイズが大きくなる可変サイズを選択しています。
以下の入力が終わったら「作成」をクリックします。
ファイルの場所(L) | C:\Users\dekiruengineer\VirtualBox VMs\OracleLinux81\OracleLinux81.vdi |
ファイルサイズ(S) | 20.00[GB] |
ハードディスクのファイルタイプ | VDI(VirtualBox Disk Image) |
物理ハードディスクにあるストレージ | 可変サイズ(D) |
これでVirtualBox上の仮想マシンの作成は完了です。
仮想マシンにOracle Linux8のインストールメディアをマウントする
VirtualBox上で今作成した仮想マシンをクリックし、右上の[設定(S)]ボタンをクリックします。
[ ストレージ ]→[ コントローラー: IDE ]の空をクリックして、右上のディスクマークをクリック。
[ ディスクファイルを選択 ]をクリックし、先程ダウンロードしたOracle Linux8のインストールメディア[V984216-01.iso]を選択します。
これで、仮想マシンにOracle Linux8のインストール用DVDが挿入された状態となります。
仮想マシンにネットワークアダプタを追加
Windows10のホストから仮想マシンにSSH接続するために、ホストオンリーのネットワークアダプタを追加します。
先程VirtualBox上で作成した仮想マシンをクリックし、右上の[設定(S)]ボタンをクリックします。
[ネットワーク]→[アダプター 2]→[ネットワークアダプタを有効化(E)]にチェック、割り当ては[ホストオンリーアダプター]を選択し、[OK]をクリックします。
これでWindows10から作成した仮想マシンに接続出来るようになります。
仮想マシンのディスプレイ設定を変更
VirtualBoxを入れるマシンの設定にもよりますが、仮想マシンのディスプレイの設定によってOracle Linux8のインストーラーのマウスがある範囲より右や下に動かせない場合や、画面の端が切れてしまうことがあります。
グラフィックコントローラーの[VBoxVGA]に変更することでマウスや画面表示を正常にできます。
仮想マシンの[設定]から[ディスプレイ]に遷移し、以下のようグラフィックスコントローラー(G)を[VboxVGA]に変更します。
Oracle Linux8のインストール
それでは作成した仮想マシンにOracle Linux8をインストールしていきます。
VirtualBox上で作成した仮想マシンをクリックし、[起動(T)]ボタンをクリックします。
先程マウントしたOracle Linux8のインストールメディアのISOファイルが読み込まれ、以下の画面が表示されるので「Install Oracle Linux 8.1.0」選択してEnterを押下します。
しばらく待っていると以下のWELCOME TO ORACLE LINUX 8.1. の画面が表示されますので、インストールに使用する言語を選択します。[日本語]を選択して[続行(C)]をクリックします。
インストール概要画面に遷移しますので、最初に[時刻と日付(T)]をクリックします。
地域(R)を[アジア]、都市(C)を[東京]にし、左上の[完了(D)]をクリックします。
次にソフトウェアの選択(S)をクリックします。
今回は[サーバー]を選択し[完了(D)]をクリックします。サーバは基本的にGUI環境を必要としないので、デフォルトのサーバー(GUI 使用)は選択しません。
次に[インストール先(D)]をクリックします。
Oracle Linux8のインストール先を選択します。ローカルの標準ディスクをクリックして左上の[完了(D)]をクリックします。
次に[ネットワークとホスト名(N)]をクリックします。
ネットワークアダプタは2つありますが、1つめは仮想マシン作成時に自動的に作成されるものなので、2つめのネットワークアダプタを設定していきます。
2つめのネットワークアダプタ(この画面ではenp0s8)を選択し、右下の[設定(C)]をクリックします。
IPv4 設定タブでメソッド(M)を[手動]に設定し、追加ボタンをクリックします。
今回はIPアドレスを[192.168.56.102]、サブネットマスクを[24]に設定します。今回設定するネットワークアダプタは冒頭で追加したホストオンリーアダプターなのでゲートウェイは空欄のままにします。
IPv6 設定タブでメソッド(M)を[無視する]に設定し[保存]をクリックします。
ホスト名(サーバ名)を入力します。今回はホスト名を[ora81]としました。
ホスト名を入力したら、[適用(A)]をクリックし、左上の[完了(D)]をクリックします。
これで事前の設定は完了したので、[インストールの開始(B)]をクリックします。
インストール中にrootのパスワードを変更できますので、[root パスワード(R): ]をクリックします。
rootユーザのパスワードを入力し、再度確認のため同じパスワードを入力して左上の[完了(D)]をクリックします。
Oracle Linuxがインストールされるのをしばらく待ちます。ユーザの作成はOS起動後に出来るので今回は実行しません。
インストールが完了した後、[再起動(R)]をクリックしてOSを再起動させます。
※私の環境(VirtualBox6.1のディスプレイ設定がグラフィックコントローラーの[VBoxVGA)では、インストール完了画面で以下のような画面になってしまったので、以下の手順で仮想マシンを停止させました。
右上の✕ボタンをクリックし[仮想マシンの電源オフ(P)]を選択し、[OK]をクリックします。
仮想マシンを停止させたら、仮想マシンの設定(S)からストレージ設定画面をクリックします。
コントローラー: IDE: からOracle Linux8のisoファイルを右クリックし、[割り当てを除去]をクリックして[OK]をクリックします。
仮想マシンの[起動(T)]ボタンをクリックします。
仮想マシンが起動したら root ユーザでパスワードを入力し、ログインを試します。
ネットワークインターフェース(NIC)はデフォルトでは自動起動はOFFになっているので、2つのNICの自動起動をon(ONBOOT=yes)にします。インストール中のGUI画面のNIC設定のどこかでも設定は可能だと思いますが、今回は忘れたのでコマンドで修正しています。
[root@ora81 ~]# vi /etc/sysconfig/network-scripts/ifcfg-enp0s3
TYPE=Ethernet
PROXY_METHOD=none
BROWSER_ONLY=no
BOOTPROTO=dhcp
DEFROUTE=yes
IPV4_FAILURE_FATAL=no
IPV6INIT=yes
IPV6_AUTOCONF=yes
IPV6_DEFROUTE=yes
IPV6_FAILURE_FATAL=no
IPV6_ADDR_GEN_MODE=stable-privacy
NAME=enp0s3
UUID=a60738c0-5b13-4934-baa3-0ccaa595af63
DEVICE=enp0s3
ONBOOT=yes
[root@ora81 ~]# cat /etc/sysconfig/network-scripts/ifcfg-enp0s8
TYPE=Ethernet
PROXY_METHOD=none
BROWSER_ONLY=no
BOOTPROTO=none
DEFROUTE=yes
IPV4_FAILURE_FATAL=no
IPV6INIT=no
IPV6_AUTOCONF=yes
IPV6_DEFROUTE=yes
IPV6_FAILURE_FATAL=no
IPV6_ADDR_GEN_MODE=stable-privacy
NAME=enp0s8
UUID=7e5b9aa6-92c6-437c-9d78-579d9a7cecf1
DEVICE=enp0s8
ONBOOT=yes
IPADDR=192.168.56.102
PREFIX=24
IPV6_PRIVACY=no
変更が完了したら、NetworkManager.service を再起動します。
systemctl restart NetworkManager.service
Oracle Linux8の仮想マシンにSSH接続
最後に仮想マシンにSSH接続します。今回はTera TermでSSH接続をしますが、他のターミナルソフト(SSHクライアント)でも接続方法は大きく変わりません。
Tera Termを起動し、設定したIP[192.168.56.102]、SSHポートの[22]に接続します。
rootユーザを指定し、インストール時に設定したパスワードを入力し、[ブレインパスパスワードを使う(L)]にチェックを入れて[OK]をクリックします。
以下のような感じでTera TermにSSHで接続することが出来れば完了です。
以上で、VirtualBoxのVM作成、Oracle Linux8インストール、Tera TermでのSSH接続が完了です。